亀次郎の予備試験記録部屋

令和元年(2019年)の予備試験の受験記録、再現答案、勉強方法についての備忘録

「夏からの司法試験対策」と「選択科目」

第1 伊藤塾の「夏からの司法試験対策」の内容まとめ

(「夏からの司法試験対策」の動画は伊藤塾の予備試験奨学生に登録すると特典で見ることができます。)

 担当の伊関講師は、夏の間に来年の司法試験を見越してしておくべきこととして、①司法試験の過去問を2~3年分解いておくことと、②選択科目を決めて基本的な点については理解しておくことを挙げていた。

 ①について、まず過去問を解くのが試験対策の第一歩ということは痛いほどわかる。わかるんですけど、予備試験受かってるかもわからないのに、司法試験の過去問を解くというのは、個人的にどうしてもヤル気がわいてこないんですよね...。

というわけで、最終合格発表までは司法試験の過去問には手を出しません(宣言)!!

 ②について、いかに予備試験に合格しているかがわからないといっても、合格発表から半年で新しく1つの科目を合格レベルにもっていく自信はありません。そこで、選択科目については勉強を少しずつしていこうと思います。

 

第2 選択科目は何にするべきか

 伊関講師の紹介した科目は、労働法、倒産法、知的財産法の3つだけでした。なんでこの3つに決め打ちなのかは謎。おそらく伊藤塾に講座のあるものを紹介しているだけなのでしょう。もっとも、伊藤塾がわざわざ勉強しづらい科目をすすめて自塾利用者の足を引っ張るようなことをするとも考えられないので、これらの科目は伊藤塾的に勉強しやすく、させやすいと考えているということなのだろう。

 結局、自分に合う法律を選ぶのが一番だと思うのですが、自分に合うかどうかなんて、ある程度勉強してみないとわからないわけで、それなら、とりあえず興味のある法律を勉強してみようと思うのです。

 とはいっても、自分が興味があるのは勉強しやすいもの、点がとりやすいものなので、とりあえずそれぞれの科目について、選択した先人の意見を知りたいですね。

 

0 LECによる分析

まず、予備校が各科目をどう分析しているのか。2016年のものですが、全科目について分析されているものとして以下に引用しおきます。

https://www.lec-jp.com/shihou/upper/guidance/pdf/web/LU16759.pdf

 

 以下は先輩ブロガーの記事の抜粋(下線は亀次郎が加えたものです。)

 

1労働法

https://ameblo.jp/byoosoku/entry-12459143162.html?frm=theme

 

判例(裁判例)の規範定立の重要性

  労働法では、判例至上主義的な採点方針が採用されています

  例えば、平成21年の採点実感では、「判例の立場が明確である論点については、判例の立場によらないとしても、少なくとも判例についての理解を示すべきである」とあります。

 平成25年の採点実感では、「…判例を踏まえ、適切な規範定立及び当てはめができているかなどを重視した」と述べたうえで、「たとえ判例と異なる立場に立つとしても、判例で示された判断の枠組みに言及できていない答案は、これに言及している答案に比して、高い評価を得られないことを十分に認識してほしいところである」とされています。

  大原則として、判例の規範を書きましょう。

  そして、直前期の学習でも、論証の理由付けよりも先に、判例の規範を優先して記憶しましょう。

 

  ②当てはめよりも規範定立を重視する

 ①で述べた通り、労働法の採点では、判例の規範を定立することが、相当重視されています。

  時間と紙面の制約が厳しい多論点型の問題では、当てはめが薄くなっても構わないので、判例の規範定立を優先しましょう。

  労働法では、論点について、規範定立を飛ばして、いきなり事実の摘示・評価をしても、点はないというくらいの気持ちを持ちましょう

   基本的に、規範定立過程における理由付けは、簡潔なもので構いません。

  ③合格答案・上位合格答案の水準は高くない

  労働法の勉強が間に合わないと焦っている方もいると思います。

  もっとも、それは他の労働法選択者も同じです。

  労働法は、選択科目であるために学習期間が短くなりがちであり、また、暗記の負担も大きいです。

  しっかりと準備して試験に臨める人が多くないと思います。

  そのため、合格答案・上位合格答案の水準は、基本7科目に比べて下がります。

  良質な予備校講座が登場し、労働法の試験対策が進んでいる今日においても、そうです。

 (中略)

 

  ④設問の形式について

  労働法では、「検討すべき法律上の論点を挙げて、あなたの意見を述べなさい。」という指示があります。

  答案冒頭で「検討すべき法律上の論点」を列挙した上で、論点ごとの検討に入ることが求められているようにも読めます。

  しかし、そこまでは求められていないと思われます。

  論点ごとに、論証・当てはめに入るに先立ち、簡潔に問題点を示せば足りると思います。

  過去の採点実感でも、答案冒頭で「検討すべき法律上の論点」を列挙することを求める指摘もありません。

 

  ⑤論点主義的な答案で構わない

  労働法は、民法の延長的な科目です。

  賃金請求や地位確認請求では、訴訟物があり、それに対応する実体法上の要件(あるいは、請求原因や抗弁等)との関係で論点が問題となります。

  しかし、民法の答案のように、論点以外の要件についても一つ一つ認定するということは不要です、

  労働法では、基本的に、そうした論述は求められていません。

  論点主義的な答案で構いません。

  初めは、答案を書きにくい、参考答案が読みにくいと感じるかもしれませんが、論点主義的な答案に慣れる必要があります。

  労働法に限ったことではありませんが、思考過程を全て答案に反映するのではなく、配点項目をイメージして、書くべき内容を取捨選択する必要があります。

 

 

2 倒産法

https://ameblo.jp/mameshiba-j/entry-10557399205.html

勉強の仕方

 

 まず、倒産法という法律はありません。倒産法というのは、破産法、会社法上の特別清算民事再生法会社更生法の4法からなる法分野で、新試でメインに聞かれるのは、清算型の一般法である破産法です。あと、再生型の一般法である民事再生法も、破産法との比較で聞かれます。特別清算会社更生法は出ません。

 

 なので、初学者の方は、まず破産法を勉強しましょう。民事再生法も並行して勉強できるとベストですが、破産法をしっかり理解すれば、民事再生法の理解もかなり早くなるので、そんなに心配することはないと思います。

 

 で、破産法の勉強の仕方ですが、まずは、手続の流れを抑えるのが先決だと思います。概説の目次を見てもらえればわかるように、破産法を含め倒産法は、手続法だけでなく実体法も規定しています。実体法は、いろいろ論点があったり、難しい点が多々あるので、こちらばかりに目が行きがちですが、まずは、手続法を勉強しましょう。ちなみに、新試では、実体法だけでなく、手続法も必ず聞かれます。

 

 破産手続の流れは、こんな感じです。

 ①まず、債務者等が裁判所に、破産手続開始申立をします。

 ②次に、裁判所が、破産手続開始原因等の有無を判断して、破産手続開始決定をします。

 ③開始決定が出ると、この後、おおきく2つの手続が進行します。

  ⅰ まず、債権者が自分の債権を裁判所に届け出た後、本当にその債権が存在するのか等を調査し、最終的に、誰がどのような債権をいくら持っているのかを確定する手続があります。

  ⅱ 次に、管財人と呼ばれる人が、破産者の財産を調査した後、それらをお金に換価する手続があります。

 ④で、最後に、換価することで得られたお金を、債権者に配当します

 大きな流れは、こんな感じです。ちなみに破産手続は、破産者の財産をお金に変えて、債権者に分配する手続に過ぎず、一般の方になじみのある免責手続とは一応別物です。

 勉強する際は、百選の後ろに載っている手続の概要を参照しながら、条文を引きつつ、概説の「第三章企業の倒産 第2節破産法」を読むといいと思います。

 

 

3 知的財産法

https://www.daitai.net/entry/20190219/1550520000

知財法は、とっかかり≒クレームだとか、著作物性だとかの基礎概念自体がとっつきにくい、というのが特徴でしょうか。

 

 そこさえ乗り切ってしまえば、知的財産法は理論的にも、利益衡量的にも大変楽しい法律です。また、要するに特許法行政法+物権法で、著作権法不法行為法の特則ですから、相乗効果も期待できます。利得の吐き出し、など。また、田村先生を始め、実務家視点をもった先生が多いことも特徴で、主張立証責任の分配、既判力など民訴法にも強くなります

基本書

 小泉先生の特許法著作権法が、特許法著作権法を合わせて270頁、と驚異的な薄さを発揮しています。しかも、網羅性もそれなりに確保しています。凄すぎる!…のですが、やはり説明が簡潔で、行間が広くなってしまっています。

 

 上述のように知財法は「基本概念のとっつきにくさ」が唯一かつ最大のハードルなので、むしろ最初はある程度の厚みがある本が良いと思います。となると、困った時のストゥディアです。特許法はともかく、著作権法であればストゥディア(+加筆修正)で、ひょっとしたら司法試験が乗り切れちゃうのではないか…とも思います。

 

 

4 租税法

https://www.daitai.net/entry/20190219/1550520000

 

租税法は難しいイメージがあるため、選択する人が少ない科目です。しかし、租税法律主義があるため、答案は要件事実を特定→事実をあてはめる、というに尽きます(膨大な間接事実から要件事実を認定するタイプの問題が多く刑事系と似ています)。また、規範定立は条文文言と趣旨からの説き起こし、というパターンです。実は学びやすく、答案も書きやすい科目です。

 試験範囲は所得税法法人税法国税通則法の基本部分です。そして、法人税法も所得課税部分からの出題で、国税通則法も所得課税付随部分からの出題が予想されます。従って、所得税法の理解をしっかりさせることが非常に重要です。

 勉強はまず、木山泰嗣「弁護士が教える分かりやすい「所得税法」の授業 (光文社新書) 」を読み込むことから始めましょう。

 租税法の勉強は①所得、担税力、譲渡所得課税の趣旨、といった基本概念を理解し、②そこからの説き起こしで各条文を熟読し、③その発現である判例の規範を理解し暗記する、ことが大事です。木山・所得税法は本来は一般向けの新書であり、ボリュームも少ないにもかかわらず、概念・趣旨・条文・判例が非常に分かりやすく、かつ、司法試験に十分といっていい程のレベルで書かれています。

 入門向けであると同時に司法試験に何とか立ち向かえるレベルまで達することが可能な非常に有益な本です。まずはこの本をしっかり読みましょう。

(中略)

 租税法は一見馴染みの薄い制度が出題されることが多く(但し、よく考えれば基本概念・趣旨から考えれば解ける問題)、また、所得税法の理解が法人税法国税通則法の基礎であることから、もう少し応用的な本を読んだ方がいいと思います。

 

 

5 経済法

https://blogs.yahoo.co.jp/i_cannot_speak_english_7/29623383.html

 

経済法(特に独禁法)の魅力をちょっとだけ紹介

1.意外と身近な法律である
経済法なんてどこが身近なんだと思うかもしれないが、結構ニュースで独禁法違反事件が取り上げられる
特にカルテル、不当廉売なんかが多いか

2.使う条文が少ない
これは本当に助かる
簡単に説明すると、独禁法の構造は次のようである

・総則           第1章

           第2章 私的独占、不当な取引制限
           第3章 事業者団体

     ―規制規定   第3章の2 独占的状態

    |      第4章 企業結合規制

・各則―          第5章 不公正な取引方法
    |

     ―手続規定、罰則規定等その他の規定 第6章~第12章


このうち試験で使うのは、総則の定義規定(2条)と、各則の規制規定のうち各章の冒頭の条文(第2章なら3条、第5章なら19条)、あとは不公正な取引方法を定めた一般指定と呼ばれるもの(全15項)だけである
第6章~第12章が試験で問われることはほとんどない

3.答案が書きやすい
正確に言えば、論述の順序が決まっているといったところか
刑法の学習者ならわかるが、刑法は論述の順番が構成要件該当性→違法性→有責性と固定されている
独禁法も同じである
行為要件該当性→行為の不当性→自由競争減殺効果の順で論述することが決まっているといってよい

4.やるべき範囲(使用教材)が明確
巷に教科書の類が多いことは、学習者としてはありがたい反面、その選択に悩むことがある
しかし、経済法では必要な教材がほぼ固定されている

 

 

6 国際私法

https://ameblo.jp/sihouoishii/entry-11945127360.html

国際私法については、基本書は松岡博先生の「国際関係私法入門」を使っていました。

サブテキストとして、辰巳出版の、「一冊だけで国際私法」という本を使っていました。

演習は過去問と上位合格答案です。

(中略)

③演習の仕方

国際私法は、あまり演習書がありません。しかし、過去問を解けばそれで十分だと思われます。

上位合格答案や出題の趣旨を見てもらえれば分かると思いますが、国際私法の採点基準はかなり独特なようです。他の科目は、試験対策として点数を狙いに行く答案の書き方というのはしなかったのですが、この科目だけは点数を意識した答案を書きました。

それくらい、採点基準が独特なのです。

具体的に言えば、事例の解決には直接に関係ない、他の関連条文についても、点数が振ってあるのです(ですので、関連条文の適用がない場合でも、適用がない旨を書かなければなりません)。また、条文を適用するに当たっては、適用する前に、適用条文の趣旨や他の条文との関係などをネチネチ書かないと点数になりません

 

ですので、これらを意識しながら過去問演習を繰り返すといいと思います。

 

④勉強の仕方

基本書を読むときには、条文の趣旨を答案に書けるようにまとめて、それを全て暗記する必要があります。他の科目なら、必ずしも趣旨を説明する必要がないのですが、国際私法では、出てきた条文は全て趣旨と関連条文との関係を書いてあげる必要があるようです。

さらに、具体的な単位法律関係の範囲をしっかりと抑える必要があります。これを押さえておかないと、適用条文を間違えて議論が明後日の方向に向かってしまうことになりかねません。

あとは個々の条文の仕組みと、他の条文との関係をしっかりと理解し、議論が分かれているときにはしっかりとそれぞれの説について理由づけまで押さえておく必要があります。(おさえておく説は、基本的には通説と反対説を一つずつでいいと思いますが、場合によっては3つほど説をおさえていたほうがいい場合もあります)

 

あと、国際私法は判例が少ない分、基本書等に出てきた判例についてはしっかりと押さえておく必要があります。

 

 

7 環境法

https://ameblo.jp/usamatsu-lsidol/entry-12201914199.html

勉強方針:

 基本的にはひたすら教科書を読む。司法試験の過去問は、友達とゼミを組んで答案を見せ合ったが、それ以外には特にアウトプットはしなかった。とにかく基本書を暗記する勢いで読みまくった(他の科目ではあまりやらないやり方。環境法は知識で戦える面が強いのでとにかく知識量を増やしたかった)。

 

使用教材:

①環境法BASIC 第2版/有斐閣

 ベースはこれ。ロースクールの授業の教科書でもあったので何度も何度も読んだ。法制度の内容については、これを精読すれば充分頭に入るかなあと。訴訟の部分については、下に挙げる『環境訴訟法』のほうが分かりやすいと個人的には感じたので併用していた。

 

②環境訴訟法/日本評論社

 『環境法basic』で足りない部分を補うのに使った。『環境法basic』と比べると法制度の説明の詳細さについては一歩劣るものの、説明がわかりやうすくイメージを掴むのにとても役立った。

 

③環境法判例百選 第2版 (別冊ジュリスト206)/有斐閣

 なんだかんだ判例も大事ということで一応使った。

 ただ、重要な判旨が引用されていないことも多いので、あんまり重用はしなかった。百選を単独で使うというよりは、『環境訴訟法』を読みつつ、出てきた判例を参照するのに使う、くらいのイメージ。

 

④<七訂> ベーシック環境六法/第一法規株式会社

 環境法の勉強するときは常に手元にないと困るやつ。それくらい重用した。

 廃掃法など、非常にややこしい法律もあるので、何度も読んで条文に慣れた。

 

⑤環境法ケースブック/有斐閣

 ケースといくつかのクエスチョンが載っているタイプのケースブック。解説がついているのでその部分だけ参考程度に読んでいた。そこそこ役立つことがたまに書いてある、くらいの位置づけ。

 

⑥司法試験過去問

 全部1回は答案にした。というか他に演習教材ないし……。

 『環境法ケースブック』は参考書としてはよいが、演習向きではないなあと感じた。

 

⑦環境法ガール

 過去問のお供。とてもわかりやすく試験の説明がなされており、「環境法」のイメージをつかむのに非常に役立った。

 

本試験の成績:

 70点台(上位2%くらい)。

 まさかの1桁順位。これのおかげで総合順位も爆ハネした。

 

 

8 国際公法

http://blog.iroha-law.com/?eid=358

 

私が、新司法試験を受験したとき、何を選択したかと言うと、実は、この一番人気のない国際公法なのです。

 そもそも、国際公法とはどんな学問かというと、南極であったり、宇宙であったり、海賊であったりと、まさに国際的に問題な事柄を考える学問です。とりあえず、話が大きいです。

 

 では、なぜ、受験生から敬遠されるかと言うと、マチの弁護士をしている限り、全くと言ってよいほど国際公法は役に立たないからです。普通に、マチで弁護士をしていたら、南極の領有を争っている人や宇宙から人工衛星が落ちて来た人、海賊に出くわした人などから相談を受けるなんてことはありえませんから、まあ必要ないとなるわけです。

・・・ときどき、ロースクール生から、「選択科目は何を選択したらよいですか?」と聞かれるのですが、その時は、「倒産法か労働法が良いと思うよ」と、言ってしまいます。自分が選択した「国際公法が良いと思うよ」と自信を持って言えないところが辛いところです。

 

 

9 結局どうする?

 ここまで見てきて、とりあえず、国際公法はないのかなと思いました笑。あまりにも情報がなさすぎます。その他の法律は、環境法のようなマイナーといわれるようなものでも70点台の高得点が可能なことを示していたり、実務での有用性が垣間見えたりと、それぞれに魅力があると感じました。

 また、どの法律にするにしても、点の取れる科目にするためにはある程度の勉強時間を確保する必要があるという印象も受けました。やはり、日本最難関の試験である司法試験で楽していい点を取ろうなんて考えてはいけませんね。結局自分が将来役立てられるか、知っておきたいか、という点が重要な考慮要素であると思います。

 自分は、最近、お金の活用法や節約法に関心があるので租税法を勉強してみようかなぁと思います。

 

 

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